公立大学法人 都留文科大学

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国文学科

研究室 & ゼミ紹介(国文学科)

更新日:2021年3月26日 ページ番号:0005063

研究室&ゼミ紹介

国風文学を代表する『源氏物語』は、 実は漢詩文の世界と深くつながっている。
そんな研究をしています。

長瀬由美 先生
長瀬 由美 先生

 私の研究対象は『源氏物語』を中心とする平安時代の仮名文学と、同時代の漢詩文です。国風文化を象徴する仮名文学は、日本独自のもの、というイメージを強く持たれていると思いますが、実は中国文学の影響を強く受け、漢詩も多く引用されています。平安時代、日本人の知性のベースは漢籍─儒教の経典や歴史書・詩文集─であり、貴族・官人の男性がこれを読んで、仮名でものを書き始めました。その流れを受け、女性作家の作品にも漢籍の影響は色濃く表れています。とりわけ、白居易の詩文集『白氏文集』は広く愛好されました。歴史研究においても、以前は国風文化は鎖国的に閉じられたなかで発展した日本独自の文化だと認識されてきましたが、昨今は唐代文化の影響を受けて発展した文化だという方向に見直されています。平安時代の人々が中国文学をいかに深く受けとめ、そのうえで自らの文学を発展させていったのか。その様相を追っています。

 ゼミでは、古典好きな学生が集まって、平安時代の作品について話し合い、それぞれの研究テーマに向き合っています。古典作品は日本語を用いてはいますが、現代とは社会の仕組みも通念も異なるため、深く共感できる部分と、容易には理解できない部分とを併せ持っています。学生の皆さんには、自分の先入観をいったん脇に置き、史料をよく探索して、作品の生まれた時代背景やその時代の価値観を理解したうえで、作品が語ろうとしていること、訴えようとしていることを読み取る力を身につけてほしいと考えています。自分とは異なる思考の脈絡に寄り添い、理解する技術と力は、卒業後もさまざまな場面で活かされるでしょう。