授業紹介(比較文化学科)
身体論
装いの常識、美のとらえ方は時代や文化によって変わります。
美しさの基準は一つではありません。
「身体論」では、人間が文化的に身体を加工する現象がテーマです。身体加工と言うと、整形やタトゥーをイメージされることが多いと思いますが、髪や爪を切るのも身体加工ですし、画像処理で写真を「盛る」ことだって身体加工の一部です。どこまでが常識的な範囲なのか、何が美しいのかは、その地域の文化や時代によっても変わります。学生には美の基準は一つでないことに気付いて欲しいと思います。異文化や歴史についての理解を深め、装いをめぐって人はなぜ対立する のか、相容れないのかを知ることで、生活周辺に潜む身近な「違い」に気付くはずです
この講義を履修している先輩の声
小さなころから日本の文化、世界の文化の両方に興味がありました。知れば知るほど世界の人々のことだけでなく、自分のことも理解できるような気がしていたからです。比較文化学科では「比較」の視点から、こうしたことが深く学べると思い、入学しました。在学中に1年間アメリカに留学したのですが、この経験で宗教のとらえ方が変わりました。キリスト教系の大学に留学し、クリスチャンの友だちと一緒に毎週教会のミサに通うことで、日本にいた時に持っていた宗教のイメージよりも、実際はもっと純粋なものなのだと感じました。
身体論は身体加工をテーマとした授業ですが、身体のことだけでなく、文化や思想について深く学ぶことができたと思います。私にとっては一人の女性としての在り方について改めて考える機会となりました。
「身体論」ってどんな授業?
「身体論」は、ジェンダーや歴史、文化の視点から、伝統社会と現代社会の装いや身体観について学びます。
伝統的な手法であるイレズミ、割礼、纏足、化粧などから、現代のボディービルや髪のカラーリング、ダイエット、美容整形、写真の修正まで、身体加工法のバリエーションを紹介し、その上で、こうした加工にどのような背景や身体観、社会規範があるのかを考えていきます。フィールドワークを通して人間の生活様式の多様さを明らかにしてきた、文化人類学の感覚が身に付く授業です。