公立大学法人 都留文科大学

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英文学科

研究室 & ゼミ紹介6

更新日:2022年4月1日 ページ番号:0008784

授業風景

地理的、文化的境界を越える
文学作品を読み解きながら、
自らも越境する体験を

加太 康孝 先生
加太 康孝 先生

 私のゼミでは、World Literature(世界文学)の看板の下、20世紀から現在に至るまでの英語圏文学を扱っています。 「英語圏」という言葉が指し得る対象はとても広いので、このゼミのキーワードでもある「普遍性」「特殊性」「越境性」とともにこれについてお話ししたいと思います。(そもそも「文学」もとてつもなく大きく捉えがたい言葉なのですが)
 英語(English)はイングランド(England)という小国で生まれましたが、今では「世界語」のひとつになっています。そのため、英語で書かれた作品だけでも膨大な量にのぼります。その一方で、英語圏では他の言語から翻訳された作品もたくさん読まれています。私の専門は20世紀前半のブリテン諸島(国で言えばアイルランドおよびイギリスに当たる地域)ですが、そこではアーサー・ウェイリーという人が英訳した『源氏物語』が出版され、少なからぬ影響力を及ぼしました。
 このように、文学作品には地理的、文化的境界を越える力があります。作家自らが動き回ったり、出版社が仕掛人になったり、映画に姿を変えて世界市場に出回ったりと、その形はさまざまです。
 このように文学作品が越境するとき、何が起こっているのか? どのような文学作品がどのように境界を越えるのか? これらがこのゼミでの大きな問いとなります。
 それらを解き明かす試みでときどき耳にするのが、「この作品には時代や地域を越える価値/おもしろさがある」という声です。そういった性質が「普遍性」であり、これは確かに重要そうに思えます。ただし、同じくらい重要なことはどんな文学も特定の時代に、特定の地域で書かれたには違いないということです。時代や地域による「特殊性」が必ずあるのです。そう考えてみるとそもそも、「時代や地域を越える価値」というものも果たしてどこまで絶対的なものなのか、と問うこともできそうです。
 このゼミではそんなことを考えながら、しかしまずはそれぞれの文学作品に真摯に向き合い、自分の考えを精確に表現する力を磨いていきます。このとき必然的に日本語と英語とを(もしかすると他の言語とも)行き来することになります。そのことで私たちもまた、境界を越えていく体験を重ねていくことになるのです。それは世界に生きる私たちにとって、かけがえのない経験になると考えています。