研究室 & ゼミ紹介8(英文学科)
更新日:2024年5月1日
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心の働きの一端に触れる文法研究
堤 博一 先生
私は英語学(生成文法)を専門としており、主に英語と日本語の対照を通して文法の研究を行っています。
「文法」と聞くと、文を上等に組み立てたり正しく解釈したりするために学校で学んできた、文法書に載っている守るべきルールの寄せ集めを思い起こすかもしれません。しかし、言語学の一分野としての文法研究は、このように外的に押し付けられる規範的文法観とは異なる文法の見方をしています。すなわち、文法とは話者の頭の中に実在し、日々の言語活動の基盤として機能する心理的計算体系であるという文法観です。子どもの言語獲得とは、育った環境で話されている言語を母語として操るための心的文法を構築していく過程ということになります。この意味での文法の内実やその獲得のメカニズムを解明しようとするのが現代の文法研究の目的であり、今日に至るまで英語学が中心となって、この目的に大いに貢献してきました。
当ゼミでは、英語とはどのような言語なのか、より明確には、英語話者が心的に有する文法はどのようなものなのかという問題に取り組んでいます。3年生ゼミでは、2年生までに学んだ英語学の基礎を土台に、文法研究の一分野である句や文の構造を扱う統語論の洋書の講読を通じて、英語話者が文を構築・理解する実際の仕組みを客観的に解明する記述的文法という考え方や分析の手法を身につけてゆきます。4年生ゼミでは、一人一人が研究テーマを決め、先行研究批判や自分の考えをプレゼンする機会を設けながら卒業論文を執筆してゆきます。こうして、英語という言語の仕組みに関する専門的知識を持った学生を育てています。