公立大学法人 都留文科大学

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国際教育学科

研究室 & ゼミ紹介

更新日:2021年3月26日 ページ番号:0007053

授業風景

あなたの問いはなんですか:
教育について哲学/対話するゼミ

木下 慎 先生
木下 慎 先生

 「教育」とはなんでしょうか。分かるようで分かりません。なんで学校に行かないといけないの。どうして誰かと一緒に学ぶ必要があるの。知識を得るってどういうこと。先生ってえらいの。考え始めると疑問がつぎつぎ湧いてきませんか。私たちは普段わざわざそんなことに頭を悩ませません。いちいち考えて立ち止まっていたら生活できませんよね。でも、大学というのはそんな「当たり前」を自由に問い、議論できる場所です。

 私のゼミでは教育の根本にあるものを探究します。たとえば「生きる意味とはなにか」という問いを考えてみましょう。最近のゼミではV.フランクル『それでも人生にイエスと言う』や神谷美恵子『生きがいについて』を読みながらみんなで議論しました。フランクルは強制収容所に入れられた経験を持ち、神谷はハンセン病患者の方々と長年交流を持ちました。ふたりとも、人間は絶望的状況に追い込まれてなおこの世界に生きたいと思えるのか、について思索を重ねました。コロナ禍で息苦しい生活を強いられている私たちにとって無縁な問いではないでしょう。なぜ、あなたは「それでも」この世界に生きたいと思うのでしょうか。あなたの人生を支える土台はなんですか。

 このゼミでは、ゼミ生ひとりひとりが自分の問いを出して対話を重ねます。たとえば、能力社会の勝者がおごることは悪なのか、ICTを活用した協働的学びとは、持続可能な教師の働き方とは、なぜ心を病むのか、なぜフィクションに感動するのか、といった問いが今年のゼミ生から生まれました。一人一人の固有の問いには、あらかじめ用意された答えなど役に立ちません。突き詰めた問いを前にして私たちにできることは共に考えることです。あなたの問いはなんですか。みなさんと議論できるのを楽しみにしています。