公立大学法人 都留文科大学

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比較文化学科

研究室 & ゼミ紹介4

更新日:2022年4月1日 ページ番号:0007052

授業風景

自分とは異なる文化に生きる人々が何を大切に思い、どのような考え方をするのか。
それを理解しようと模索する中で、自分の文化のあり方にも向き合う。比較文化研究は、そのような体験をもたらす学問だと思います。

内山 史子 先生
内山 史子 先生

 私は、フィリピンがアメリカの植民地だった時代のフィリピン社会の変化や教育政策と「国民文化」の発展といったテーマを通して、アジアにおける近代植民地支配と国家形成やナショナリズムの問題について研究しています。

 フィリピンは東南アジアと呼ばれる地域に属しています。東南アジアはインドネシア、ベトナム、タイといった大国に加え、シンガポールのような経済先進国、イスラム王政が敷かれるブルネイ、あるいは軍のクーデターが起きたミャンマーなど、文化も政治体制も極めて多様な国々で構成されています。そのような東南アジア諸国に共通する歴史的体験は、タイを除いてすべての国が植民地支配下に置かれたことと、アジア・太平洋戦争では日本軍の占領下に置かれたことです。その中で、私の関心は、16世紀以来約400年間にわたって他国の支配下にあったフィリピンにおいて、植民地支配がフィリピンにどのような文化を生み出すことになったのかということにあります。

 私自身の専門は歴史研究ですが、ゼミのテーマは東南アジア地域研究として、ゼミ生たちは東南アジアに関わる様々な研究テーマに取り組んでいます。地域研究とは、ごく簡単に述べれば、ある地域の社会や文化をその地域全体の構造の中に位置づけて考えるものです。たとえば、現在フィリピンは毎年1000万人程度を海外に出稼ぎ労働者として送り出していますが、その背景の一つはフィリピン人の英語力の高さにあります。では、アジアの国であるフィリピンで英語が普及しているのは何故か。それはアメリカの植民地支配がもたらした教育制度に端を発します。つまり、現在の経済問題の背景には、文化変容を迫った植民地支配の歴史があります。

 このように、地域研究は事象について多面的な視点から考えます。多文化の共生がどれほど難しいか、現代の世界を見ていると感じずにはいられません。だからこそ学生たちには、歴史や政治体制の複雑さや、宗教に基づく価値観の違いなどに向き合い、他者の文化を深く理解する方法を身に着けてほしいと思います。