授業紹介【エスニシティ論】
エスニシティ論
文化や民族性、環境や歴史、
他者と自分、社会と個人、過去の
自分の現在の自分などさまざまな
比較の視点で物事の本質を探る。
エスニシティは、日本語で民族性と訳されることが多いのですが、我々が持っているさまざまな意識と置かれている立ち位置の両面を指しています。この授業では、エスニシティだけでなくジェンダーや階級、世代など、さまざまな考え方、捉え方がクロスした交差点に私たちは生きている、ということを考える授業です。都留文科大学には、1つの学問を掘り下げるだけでなく、これまで学んできたことを「つなげたい」と考える学生がたくさんいます。そうした幅広い興味関心に社会学、歴史学、人類学などさまざまな学問分野の教員が協力し合い、応えています。私たちと一緒に、比較という視点を通じて、物事の本質を探っていきませんか。
この講義を履修している先輩の声
私は東京の島嶼部の出身で、民俗学的なものに日常的に接してきました。私の家が非常に古い家だったこともあり、神事なども非常に身近で、子どもの頃から折に触れ駆り出されていました。そうしたことから文化人類学に興味を持ち、その学びを深めるためにこの学科を選びました。エスニシティ論はとても人気のある授業で多くの学生が受講しています。難しい用語・話も多いですが、都度メモし調べるなど、少しでも授業を深く理解しようとがんばっています。私は将来、研究職を希望しています。私の地元は黒曜石の産地としても有名で、先史時代の流通史という意味でもとても興味深い部分があります。研究者として、歴史学だけでなく考古学と歴史学をつなげる部分にも目を向けられたら良いのではないか、と考えています。エスニシティ論と直接は関係ありませんが、こうした多様な研究を考えることができるのも、比較文化学科の面白いところであると思います。
「エスニシティ論」ってどんな授業?
授業ではまず、「エスニシティ」という概念の多義性をとらえ、この概念に注目する意義とともに、エスニシティから「あえて」距離を置き、ジェンダーや階級など複雑な要因の交差に留意する必要性について考えます。そのうえで、「境界」「都市」「民族紛争」といったテーマに沿って、現地調査のエピソードを交えながら欧州各地の事例を紹介していきます。また、欧州と日本を含む東アジアの状況を比較しながら、エスニシティをめぐる固定的な見方を批判的に再検討します。