研究室 & ゼミ紹介8(比較文化学科)
更新日:2024年5月1日
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学際的な研究から
比較の視座を養う
菊池 信輝 先生
大学を出てから、いったん民間シンクタンク、官庁系シンクタンクで働くという遠回りの後に大学院に戻ったので、自然と政治学、経済学、社会学、歴史学といった様々な学問とその実践を身につけるに至りました。そのおかげで、現在は「同時代史学会」という学際的な学会の代表を務めています。
主たる研究対象は、日本の経営者達がつくる圧力団体である、いわゆる「財界」と政治の関係ですが、近年は「財界」の影響のもとに形成された「新自由主義政策」を国際比較する研究に打ち込み、さらにその後に続いた各国のポピュリズム政治についても検討を深めています。
変転極まりない国際社会を見るにあたって、日本の経験という比較の視座をもっておくと、思いがけない日本の特徴がわかり、それを他国を理解することに応用できることがわかります。たとえば日本ではポピュリズム政治が他国よりも先に現れていたため、その原因を究明することによって、なぜ英国で「ブレクジット」のような政策が選択されたのか、理解できるというわけです(その理由は講義を聞きに来てくださればお教えします)。
ゼミでは、それこそ戦後日本の事象であればどんなテーマを選んでもいいことにしています。とはいえ、ゼミ生が相互に批判しあって議論していくため、3年ゼミでは全員で共通のテキストを読み、4年ゼミで各自日本の選挙制度やジェンダー、農業政策などを選んで卒論に向けて研究に取り組むという形を取っています。
自由にテーマを選んでいいよ、と言うと逆に戸惑うゼミ生もいるのですが、何をテーマにしたらいいのか迷うことがとても大事です。苦しんで選んだテーマは、将来の自分がものを考える視座となるのですから。